2014年2月2日日曜日

「Messze A Felhõkkel on TV 1982」イースト


ハンガリーのバンドEastが、1st「Jatekok」(1981)発表後の1982年にテレビに出演した際のライヴ映像。

その1stアルバムの全曲の短縮版。

[members]
Varga Janos(ギター)
Zareczky Miklos(ボーカル)
Palvolgyi Geza(キーボード)
Moczan Peter(ベース)
Kiraly Istvan(ドラムス)

[set list]
1. Nyitány
2. Messze a felhőkel
3. Szállj most fel
4. Kék, fekete látomás
5. Gyémántmadár
6. Epilóg

7. Remény

1stアルバムのリリースは1981年ですが、結成が1975年にまでさかのぼるということで、ハンガリー最古参バンドの一つと言えましょう。1980年代のデジタルでクリアーな音とともに、どこかしら1970年代の垢抜けない雰囲気があるのは、東欧のバンドというだけでなく、そうしたEastの歴史の影響もあるのかもしれません。


アルバムでは歌がメインとなる曲とインスト・ナンバーを繋いでコンセプト作に仕上げていました。しかしキャッチーなメロディーとドラマチックな構成、そして東欧らしく安定したテクニカルな演奏が持ち味なので、歌ものなど、シングル曲として取り出しても十分魅力的ですね。

ハンガリー語のボーカルがやはり雰囲気があって良いですが、アルバムはハンガリー語バージョンと英語バージョンが作られたようで、世界進出も視野に入れた活動をしていたことが伺われます。


映像は一応ライヴのかたちを取っていますが、どうやら音はテープのようです。それでも1990年代以降の映像に比べこのデビュー当時の映像はレアで、若々しく初々しいメンバーの姿が印象的です。


アルバムとしては1st「Jatekok」と2nd「Hüség」が有名ですが、バンドはその後もアルバムを出し続け、現在も精力的に活動を続けているようです。


2014年1月20日月曜日

「Live in Modena 1975」レ・オルメ



イタリアのキーボード・トリオLe Ormeが1975年5月にイタリアのModenaで行ったコンサート映像。

[members]
Toni Pagliuca(キーボード)
Aldo Tagliapietra(ボーカル、ベース、ギター)
Michi Dei Rossi(ドラムス、パーカッション)

[set list]
1. Sera
2. India
3. Felona e Sorona(抜粋)
4. Cemento Armato
5. Medley (La Porta Chiusa - Collage)

後にダブル・キーボードになったりギター奏者が加入したりしますが、この時点ではトリオ編成で「Collage」(1971)から「Cllage」と「Cemento Armato」、「Uomo Di Pezza」(1972)から「La Porta Chiusa」、「Felona e Sorona」(1973)から同アルバム抜粋、「Contrappunti」(1974)から「India」、そして1975年のシングル曲「Sera」を演奏しています。「Cemento Armato」から切れ目無しでなだれ込んで行くラストは、インスト部分を繋げたメドレーになっていますね。

TV放映用と思われる映像で、数台のカメラを駆使して記録された演奏の様子はとても見応えがありますが、いかんせん画質・音質ともに厳しいのが残念です。1975年であれば時期的にもっとクリアな映像であってもおかしくないので、尚更その質の悪さが惜しまれます。

しかし演奏は素晴らしく、サポートなどを入れずに3人だけで見事なステージを繰り広げています。決してテクニック的に聴衆を圧倒するようなパフォーマンスではありませんし、そういう音楽性のバンドでもないのですが、タイトに引き締まったアンサンブルとそれぞれの楽器の音を活かした思いの外厚みのあるサウンドに引込まれますね。あらためて豊かな音楽性を感じさせてくれます。

多彩で深みのあるトニー・パッリューカのキーボードを中心に、哀愁あふれるアルド・タリアピエトラのボーカルがLe Ormeのクラシカルで浮遊感あふれる独特な世界を築いていきますが、ミキ・デイ・ロッシの安定感抜群なドラミングもまた大きな魅力です。

ハイライトはやはりインストパートが充実している「Felona e Sorona」と言えますが、「India」もライヴ用アレンジで聴かせますし、もともとメロディーが美しくアルドのボーカルが特徴のバンドなので「Sera」のようなポップな曲もまた良いですね。

2014年1月11日土曜日

「In Venice 1989」ピンク・フロイド



Pink Floydが1989年7月15日に、イタリアのヴェニスで行ったイタリアTV用の特別コンサートの映像。番組はイタリア、スペイン、イギリス、ドイツ、フランスで放送されたようです。

[members]
David Gilmour(ギター、ボーカル)
Richard Wright(キーボード、ボーカル)
Nick Mason(ドラムス、パーカッション)

[support members]
Jon Carin(キーボード、ボーカル)
Tim Renwick(ギター)
Guy Pratt(ベース、ボーカル)
Scott Page(サックス)
Gary Wallis(バーカッション)
Rachel Fury(バッキング・ボーカル)
Durga McBroom(バッキング・ボーカル)
Lorelei McBroom(バッキング・ボーカル)
  
[set list]
1. Shine You Crazy Diamond 
2. Learning To Fly
3. Yet Another Movie
4. Round And Around
5. Sorrow
6. The Dogs Of War
7. On The Turning Away
8. Time
9. The Great Gig In The Sky
10. Wish You Were Here
11. Money
12. Another Brick In The Wall 
13. Comfortably Numb
14. Run Like Hell 

1983年に「Final Cut」を発表し、活動を停止していたPink Floydが1987年にロジャー・ウォータズ(Roger Waters)抜きで復活し「A Momentary  Lapse of Reason」を発表、併せてワールド・ツアーが始まりました。「The Wall」(1979)に伴う1980〜1981年以来のツアーということもあり、このツアーは非常に好評で何と1989年まで続き、1988年には来日も果たしています。
  
このツアーの映像は公式なものとして「Delicate Sound of Thunder(邦題:光〜PERFECT LIVE!)』があります。これは1988年の8月にニューヨークのナッソー・コロシアムで行われたライヴを収めたもの。こちらのヴェニスでのコンサートはその約1年後となり、ツアーハイライトと言える最終盤の様子を捉えたものと言えます。
  
また場所がヴェニスのグランド・セントラルという運河ということもあって、屋外の特設ステージでのパフォーマンスをゴンドラなどに乗って水上から見るという様子もかなり幻想的です。しかし演奏する方は大変だったようで、放送時間に合わせて曲を短くしたり、あらかじめ決めたスタート時間に従って各曲を始めたりと、かなりの制約と緊張の中にいたとのこと。

しかしツアー終盤ということで演奏は文句なし。前半が「A Momentary  Lapse of Reason」の曲、後半が名曲集という構成で、サポートメンバーの活躍もあり、非常に感動的なステージになっています。レーザーや映像を交えた華麗さが印象的ですが、やっぱりフロントでギター&ボーカルを担当するデイヴ・ギルモアの全力投球ぶりが大きな魅力ですね。

画質・音質も良く、もちろんTV放送用なのでカメラワークも素晴らしい、見事なライヴ映像と言えるでしょう

2014年1月4日土曜日

「Live at Capitol Theatre 1976」ラッシュ



カナダの重鎮Rushが1976年12月に、アメリカのニュージャージャー州パセーイク(Passaic)にあるCapitol Theatreで行ったライヴのプロ・ショット映像。

曲は名作「2112」(1976)から大曲「2112」。

[members]
Geddy Lee(ベース、ボーカル)
Alex Lifeson(ギター、ボーカル)
Neil Peart(ドラムス)

[set list]
1. Bastille Day
2. Anthem
3. Lakeside Park,
4. 2112
5. Fly By Night/In The Mood

1976年3月に発売した4th「2112(Twenty One Twelve)」が全米61位の大ヒットとなり、まさにビッグなバンドになろうとしている時期のライヴです。

まだゲディ・リーがシンセサイザーを使い始める前の、シンプルなギター・トリオとして音を出しているにもかかわらず、そのサウンドの緻密さや厚みに驚かされます。

シャウトするボーカルや荒々しいギター・リフにハード・ロック的な出自が色濃く出ていますが、ボーカルも含めて三人とも凄まじく演奏が上手いですね。特にニール・パートのドラミングはハード・ロック的なラフさやワイルドさとは違った、落ち着きと安定感のあるタイトでテクニカルなもので、それがバンド全体に知的な美しさを与えています。

ゲディのベース&ボーカルとニールのドラムスという、それ自体が大きな魅力とも言える鉄壁のリズム・セクションに支えられて、アレックスも後半で流麗なソロを聴かせてくれます。

Rush初期の貴重な映像と言えるでしょう。

2014年1月3日金曜日

「Rockpalast 1996」シュテルン・コンボ・マイセン



ドイツのバンドStern Combo Meißen(Stern Combo Meissen)が、1996年5月にベルリンの森の劇場ヴァルトビューネ(Waldbühne)で行われたDeutschrock Festival(ドイツ・ロック・フェスティバル)に出演した際のライヴ映像。ドイツのTV番組「Rockpalast」で放映されたものです。

曲は名作2nd「Weißes Gold(Wiesses Gold)」(1978)からアルバムタイトル曲。

[members]
Reinhard Fißler (リード・ボーカル)
Thomas Kurzhals(キーボード)
Martin Schreier(ドラムス)
Norbert Jäger(パーカッション、ボーカル)
Michael Behm(キーボード、ボーカル)
Alexander Procop(ベース)
Eghard Schumann(キーボード)

Stern Combo Meißenは1964年に当時の東ドイツで結成され、1980年から1989年の間はStern Meißenと名乗りながら、現在に至るまで活動を続けているベテランバンドです。

それでも最初のアルバム「Stern-Combo Meissen」が発表されたのがなんと13年後の1977年。翌年にマイセンの地で白色磁器を発明した17世紀の錬金術師ヨハン・フレデリック・ベトガーの生涯を描くこの2nd「Weißes Gold(Wiesses Gold)」を発表します。

その特徴はツイン・キーボードにツイン・ドラムスというギターレスな編成から繰り出される、キーボードを主体としたテクニカルでクラシカルなシンフォニック・ロック。そんなインスト・パートと共に印象的なのが、この無骨ながら哀愁あふれるメロディーを歌うボーカル&コーラスでした。

このステージは2ndアルバム発表当時の1978年から18年の歳月が流れているわけですが、リード・ボーカルを含めた4人が当時のメンバーで、オリジナルの雰囲気を活かしてアルバムの最後を飾る名曲を見事に演奏していますね。ただし最後で映像と音声がズレてしまうのが残念です。

しかし2000年、ボーカルのレインハートが筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されます。2005年以降、ライヴパフォーマンスはできなくなってしまいましたが、彼は2013年現在も闘病生活を続けています。

バンドは新しいボーカリストと共に活動を続け、2014年は50周年を祝う大規模なツアーを予定しているとのことです。