2013年4月28日日曜日

「Three of a Perfect Pair - Live in Japan 1984」キング・クリムゾン



1981年に復活したKing Crimsonが、「Three of a Perfect Pair」(1984)発表後のツアーで1984年4月に来日した際のライヴのコンプリート映像。

[members]
Adrian Belew (ボーカル、ギター、パーカッション)
Robert Fripp(ギター)
Tony Levin(ベース、スティック、シンセサイザー、ボーカル)
Bill Bruford(アコースティック&エレクトリック・ドラムス)

[setlist]
1. Three of a Perfect Pair
~ Band Introduction ~
2. No Warning
3. Larks Tongues in Aspic Part III
4. Thela Hun Ginjeet
5. Frame by Frame
6. Matte Kudasai
7. Industry
8. Dig Me
9. Indiscipline
10. Sartori in Tangier
11. Man With An Open Heart
12. Waiting Man
13. Sleepless
14. Larks' Tongues in Aspic Part II
15. Elephant Talk
16. Heartbeat

このツアーの後King Crimsonは再び活動停止となるので、ある意味総決算的な1980年代King Crimson最後のステージです。アメリカ人ボーカルを二人擁し、変拍子と複雑なギターアンサンブルをたっぷり含んだ、エレクトリックでダンサブルな曲の数々。

エイドリアン・ブリューとロバート・フリップのギターの絡みもすでにお家芸。でも自由奔放なようでいてしっかりアイコンタクトしている様子もライヴならではの面白さですね。しっかりロバート・フリップに照明があたっているのも嬉しいです。スツールで身をよじらせてソロを弾く姿は貴重、というかちょっと違和感すら感じてしまいますね。

シモンズのエレクトリック・ドラムを叩くビル・ブルーフォードには、1970年代の即興的な創造性や緊張感が欠ける気がしますが、それは彼と言うよりはこの1980年代King Crimsonの姿勢であったと考えるべきでしょう。でもダンサブルな傾向が強いからこそ、逆にグルーヴしないビルのドラミングがこのバンドの独特な個性にもなっていたように思います。

トニー・レヴィンのベース&スティック&シンセも80年代的な軽やかさを見にまとっていますが、何よりそのタイム感覚が素晴らしく、一見無造作に弾いているようで非常に安定感のあるリズムを繰り出しているところに唸ってしまいます。

控え室でメトロノームに合わせて「Fracture」のフレーズを機械のように弾いているロバート・フリップが、いかにも彼らしい佇まいです。

2013年4月26日金曜日

「Concert in Lunéville 1977」アンジュ



フランスのバンドAngeが、リュネヴィルで1977年に行なったライヴのフルコンサート映像。この年には「Tome VI」というライヴ・アルバムを発表しているので、一つの頂点を極めた黄金期の演奏と言えるでしょう。

[members]
Christian Decamps(リード・ボーカル、キーボード)
Francis Decamps(キーボード、ボーカル)
Daniel Haas(ベース)
Jean-Michel Brezovar(ギター)
Jean-Pierre Guichard(ドラムス)

[set list]
1. Le Soir du Diable
2. Sur La Trace Des Fées
3. Le Nain de Stanislas
4. Fils de Lumiére
5. Au-dela du Délire
6. Les Noces

1が1st「Caricatures」(1972)、2と3と6が4th「Emile Jacotey」(1975)、4と5が3rd「Au-delà du délire」(1974)からという選曲。

何よりまずクリスチャン・デカンの個性的なボーカルと演劇的なパフォーマンスが強烈な印象を残します。フランシス・デカンとの掛け合いもコミカルというよりはちょっと異様。森のゴブリン達みたいな感じです。そして意外と暴れるフランシス。

しかしメンバーの演奏は実にタイトでリリカル。デカンのボーカルとは対照的で、とても丁寧に音を紡いでいきます。テクニカルなものではありませんが、このアンサンブルのセンスの良さは素晴らしいですね。このダークでメランコリックな世界がAngeの真骨頂。

もちろんフランシス・デカンの奏でるメロ トロン風な怪しいオルガン・サウンドも、これぞAngeサウンドという他に類を見ないもの。

これはバイカウント(Viscount)社製のクラシック・オ ルガン(電子パイプオルガン)にハモンド社製のリヴァーヴをかけて作り出されたものとか。この異界に引込むような、美しく揺れる音は本当にマジカルです。

ラストのアンコール曲でも“アンジュ・オルガン”が響き渡ります。 
 

2013年4月23日火曜日

「Live in California 2012」アストラ



アメリカのヘヴィー・コズミック・バンドAstraが2012年にカリフォルニアのサン・ディエゴで行なったステージ。曲は傑作2ndアルバム「The Black Chord」(2012)から「Cocoon」。

[members] 
Richard Vaughan(ボーカル、ギター、キーボード)
Conor Riley(ボーカル、キーボード、ギター)
Brian Ellis(リード・ギター)
Stuart Sclater(ベース)
David Hurley(ドラムス、パーカッション、フルート)
 
Astraは2001年にアメリカはサン・ディエゴで結成されました。そのサウンドを聴いてまず思い浮かぶのはやはりPink Floydでしょうか。それも「A Sauceful of Secrets(神秘)」(1968)や「Ummagumma(ウマグマ)」(1969)など、初期のサイケデリックなサウンド。ケバケバしいライティングも、当時のサイケデリック・ムーヴメントにおけるライヴ・ステージを彷彿とさせますね。
 
タイトだけれどタメを効かせたリズム・セクション、エコーをたっぷりかけたエレキ・ギター、ラフで呪術的な曲構成。そんなサイケデリックな要素にムーグ・シンセサイザーやメロトロン・サウンドが大量に投入されることで、彼らならではの懐かしくも斬新なサウンドが出来上がったと言えましょう。
 
さらに全員一丸となって突き進む疾走パートなども違和感無く組み込まれていて、まさに美しく激しく、そして混沌とした幻想世界に聴き手をトリップさせてくれます。

昨今はGenesisやYesに影響を受けたバンドが多い中、Pink Floydを中心としたサイケデリックな音を受け継ぎながら、時にはダブル・メロトロンまで駆使してヘヴィー&ダークな世界を作り上げた彼らには、これからも要注目です。

2013年4月20日土曜日

「Live in Nottingham 1990」エイジア



Asiaが来日公演を含めた大規模ツアー中の1990年6月に、ノッティンガムのCentral Studiosで行なったライヴのフルコンサート映像。

[members]
John Wetton(ベース、リード・ボーカル)
Carl Palmer(ドラムス、パーカッション)
Geoffrey Downes(キーボード、バッキング・ボーカル)
Pat Thrall(ギター、バッキング・ボーカル)

[set list]
1. Wildest Dreams
2. Sole Survivor
3. Don't Cry
4. Voice Of America
5. Time Again
6. Prayin' 4 A Miracle
7. The Smile Has Left Your Eyes
8. Only Time Will Tell
9. Days Like These
10. The Heat Goes On
11. Go
12. Heat Of The Moment
13. Open Your Eyes 

華々しいデビューを飾りながらメンバーが安定せず、結局1985年から1989年頃まで解散状態であったAsiaが、ギターにパット・スロールを迎えて再出発した時の映像です。当時スティーヴ・ハウ(Steve Howe)は、Anderson, Bruford, Wakeman, Howeに参加していたため、この再結成には参加しなかったとか。

確かにスティーヴ・ハウの独特なギタープレイが聴けないのは残念ですが、パット・スロールもギターにボーカルに大活躍です。特にバッキング・ボーカルがスティーヴ・ハウよりも力強いので、ジョン・ウェットンのボーカルが活きますね。

そう、何よりジョン・ウェットンのボーカルが良いのです。全員やる気満々で勢いに満ちていますが、特にジョン・ウェットンが溌剌としていて、声もとても力強いのです。ジョン・ウェットン・バンドと言っても過言でないくらい。

相変わらず走るカールのドラミング、ちょっと落ち着きを魅せたジェフ・ダウンズの容姿、ジョンとパットのマイクにぶら下がっているピック。20年以上前の映像だと思うと色々と興味深いですね。

「Old Grey Whistle Test 1975」ドゥルイド



Druidは英メロディー・メーカー誌主催の1974年のアマチュア・フォーク&ロック・コンテストで優勝したイギリスのバンド。TV番組「Old Grey Whistle Testに出演した1975年の映像です。曲は傑作1st「Toward the Sun」(1975)から「Voices」と「Theme」。

[members]
Neil Brewer(ベース)
Andrew McCrorie-Shand(キーボード)
Cedric Sharpley(ドラムス、パーカッション)
Dane(ギター、ボーカル)


ハイトーン・ボイス、線の細い固いギターの音色、唸るリッケンバッカーベース、そしてドラマチックなメロトロン…。やはりお手本はYesなのでしょう。でもテクニカルでハードな面もあるものの、流れて来る音はもっとフォーキーでドリーミー。

正直なところファルセットを多用するボーカルのデーンの、声と風貌のギャップに最初ちょっと面食らいました。でもファルセットで歌いまくるようなプログレバンドのボーカルなんて他にはいません。オリジナリティが感じられて実に面白いですね。

そして演奏面でも四人のバランスがとても良く、一体感のある良い音を出しています。高度なことはしていないのですが、聴いていてワクワクさせられるアンサンブルの妙があります。特にアンドリューのメロトロンの入れ方が絶妙。

バンドは2nd「Fluid」(1976)発表後に解散してしまいますが、2ndにおいてすでにファルセットは封印されています(地声も良い声ではあるんですが…)。年代的にもプログレが一層厳しい時期ですから、何か外部から圧力がかかったのか、それともバンド内で方向性に迷いが生じたのか…。この1stの路線を突き詰めて欲しかったなぁと思ってしまいます。

2013年4月18日木曜日

「Live at Palacio Das Artes 1989」ザグラド



ブラジル随一のシンフォニック・ロック・バンドSagrado(2ndアルバムまでのバンド名はSagrado Coração da Terra:ザグラド・コラソン・ダ・テハ)が、ブラジル南東部のベロオリゾンテで行なった1989年のライヴで、曲は2nd「Flecha」(1987)から「Cosmos X Caos」。

[members]
Marcus Viana(ボーカル、エレクトリック・バイオリン、キーボード)
Augusto Renno(ギター)
Ronaldo Pellicano(キーボード)
Ivan Correa(ベース)
Lincoln Cheib(ドラムス)

[Guest Musicians]
Rosani Reis(ボーカル)
Vanessa Falabella(ボーカル)

とにかくマルクス・ヴィアナの、文字通り「天翔る」がごとき華麗なバイオリンが素晴らしいですね。彼は元々クラシック・バイオリニストですが、クラシック出身者に有りがちなロック的なリズムに乗り切れない感じというのが全くなく、実に小気味良くテクニカルなフレーズを叩き込んできます。

雄大な自然やスピリチュアルな世界を感じさせるスケールの大きさと、ポジティブな明るさを持った曲もブラジルらしさ満点。ヴィアナのボーカルも良い味を出していますし、バックの二人の女性ボーカルも曲に勢いを与えてくれています。

1980年代半ばにデビューした彼らですが、その音楽には1980年代初頭の英国ポンプ・ロックの影響は感じられず、ニュー・エイジ風世界観を、ロック、フュージョン、ニュー・エイジ、ポップスなど取り入れた独自のドラマチックな楽曲で表現し、次々に素晴らしいアルバムを作り上げました。

2000年の「A Leste Do Sol, Oeste Da Lua」を最後に、その後純粋なオリジナル・アルバムは出ていませんが、2012年にはライヴを再開している模様です。新作が期待されます。 
 

2013年4月13日土曜日

「Asia in Asia 1983」エイジア



イギリスのバンドAisaが1983年12月に初来日した際の武道館でのフル・コンサート映像。MTVによりアメリカ全土に衛生中継されたものを元にビデオ&レーザー・ディスク化されたものだと思われます。

オリジナルメンバーだったジョン・ウェットン(John Wetton)が直前の9月に解雇され(正式な理由は発表されておらず、アルコール中毒やスティーヴ・ハウとの確執などが取沙汰された)、急遽グレッグ・レイクがベース&ボーカルとして加入しています。

[members]
Greg Lake(ボーカル、ベース)
Steve Howe(ギター、バッキング・ボーカル)
Geoff Downes(キーボード、バッキング・ボーカル)
Carl Palmer(ドラムス、パーカッション)

[set list]
1. The Heat Goes On
2. Here Comes The Feeling
3. Eye To Eye

4. Steve Howe solo "Sketches In The Sun"
5. Only Time Will Tell
6. Open Your Eyes
7. Geoff Downes solo
8. The Smile Has Left Your Eyes
9. Wildest Dreams

10. Carl Palmer solo
11. Heat Of The Moment
12. Sole Survivor 

10月にメンバーとなったグレッグ・レイクは日本公演まで2ヶ月しかなかったため、バンドは11月半ばに来日してリハーサルを重ねていたとか。その甲斐あってか、グレッグは見事にバンドに溶込んでいます。さすがに歌詞はプロンプターに頼っていたようですが、映像を見る限りではそうした準備不足な様子もまったく感じられません。

その後ジョン・ウェットンが復帰するので(代わりにスティーヴ・ハウが脱退)、結果的には一時的な“代役”となったグレッグ・レイクですが、当時は新メンバーとして参加しており、そういう意気込みも感じられるステージになっています。

もちろん元々ジョン・ウェットンのボーカル用に書かれた楽曲ですから、音域や曲のイメージに違和感があるのは仕方ないところ。そうした先入観を捨てて楽しめば、若々しいメンバー達による活きの良いプレイが堪能できる素晴らしいライヴと言えるでしょう。

演奏で言えば特にスティーヴ・ハウのギターのスピード感とキレが凄いですが、視覚的な面では、珍しく横に並べられたキーボードの前を、演奏にバッキング・ボーカルに動き回っているバンダナ姿の若々しいジェフが印象に残りますね。

グレッグ・レイクとカール・パーマーというEL&Pの二人がメンバーに顔を揃えているというのも貴重です。もちろんグレッグ・レイクはKing Crimsonのオリジナル・メンバーですから、Yes、EL&P、King Crimsonの元メンバーによるスーパー・バンドであることに変わりはありません。

結局このメンバーではアルバムを残さなかったAsiaですが、例え一時期でもこのメンバーが顔を揃えたというのは今思えば奇跡的。そしてその内容も初期のAsiaの総決算的な楽曲による素晴らしいものだったと言えるのではないでしょうか。ちなみにスティーヴ・ハウのソロ・パートで演奏されるのは、後にGTRのデビューアルバム「GTR」(1986)に収録される曲です。

カタカナ縦書きの「エイジア」が、“日本”を演出した全米向けのライヴだったことを伺わせてくれますね。

2013年4月12日金曜日

「Zuckerfabrik Stuttgart 1978」エニワンズ・ドーター



ドイツのメロディアス・シンフォ・バンドAnyone's Daughterが1978年にシュトゥットガルトのスタジオで行なったライヴ映像。曲は傑作1st「Adonis」(1979)収録の組曲「Adonis」から、そのパート1「Come Away」。ということはアルバム・デビュー前のライヴと思われます。

[members]
Uwe Karpa(ギター)
Kono Konopik(ドラムス)
Harald Bareth(ベース、ボーカル)
Matthias Ulmer(キーボード、ボーカル)

ハラルド・バレスの甘くジェントルな歌声、そのハラルドに時にハモりながら美しいシンセソロを聴かせるマティアス・ウルマー。繊細なアルペジオと情感豊かな泣きのソロで曲を盛り上げるウヴェ・カルパ、そしてタイトで無駄の無いドラミングで曲を引き締めるコノ・コノピック。

4人の素晴らしいアンサンブルとドリーミーな楽曲は英国のCamelを思い起こさせますが、胸が締めつけられるようなメロディーとボーカル・ハーモニーは時にCamelを凌ぐかと思わせるほど。

ゆったりとした7拍子で曲が進みますが、表情豊かに曲が進行していくので冗長さはまったく感じられません。ハラルドの英語がちょっとぎこちなく聞こえるところもありますが、それもまた味と言えるでしょう。

1979年のアルバム・デビューし1980年代半ばまで活動していたことを考えると、プログレッシヴ・ロックへの風当たりが強くなったこの時期を、旺盛な活動と質の高い作品で支えた貴重なバンドとも言えそうです。各楽器の70年代的な音がとても嬉しいですね。

2013年4月9日火曜日

「Längtans klocka Live 2013」アングラガルド



現在活動するバンドとしては世界屈指のヘヴィー・シンフォ・バンドと言えるスウェーデンのÄnglagårdの2013年ライヴ映像。バンド・サイドで記録・公開された2月のステージです。「Längtans klocka」は18年ぶりの復活作「Viljans Öga(天眼)」(2012)のラスト・ナンバーです。

[members]
Anna Holmgren(フルート、サックス、キーボード)
Johan Brand(ベース)
Tord Lindman(ギター、ボーカル)
Erik Hammarström(ドラムス、パーカッション)
Linus Kåse(キーボード、ソプラノサックス、バッキング・ボーカル)

「Viljans Öga(天眼)」の完成度の高さに非常に高い評価を得た彼らでしたが、2012年秋に大きなメンバーチェンジがあり、中心人物と言えるドラムスのマティアス(Mattias Olsson)、キーボードのトマス(Thomas Johnson)、そしてギターのヨナス(Jonas Engdegård)が脱退するという“事件”がありました。

しかしBrighteye Brisonというバンドでも活動中のエリックとライナスという二人の新メンバーを加え、新しいラインナップで臨んだ最初のステージが、この映像が取られた2月23日のストックホルムでのライヴです。その直後の3月にはCrimson ProjecKtのスペシャル・ゲストとして来日し、素晴らしいステージを魅せてくれたのは記憶に新しいところ。 

アンナ・ホルムグレンをフロントに、出戻りのかたちとなったトード・リンドマンの繊細なギターとヨハン・ブランドの硬質なリッケンバッカーの音が、新しいメンバーの活きの良いパワフルなサウンドと一体となって、“事件”の影響など微塵も感じさせない、とても引き締まった一糸乱れぬ力強い演奏が繰り広げられます。

こぎれいにまとまる傾向がある最近のバンドの音とは違って、低音域を中心としたフルートなどの生々しい管楽器の音が最新アルバムの特徴でもあります。そして緩急の激しい落差の果てに浮かび上がる美しいメロディー。多くの先達の影響を受けながら、オリジナリティーを追求した末に到達した孤高の音世界がここにはあります。
 

2013年4月7日日曜日

「Snow Goose Live 1975」キャメル


イギリスの叙情派バンドCamelが1975年5月にBBCのTV番組に出演した際のスタジオ・ライヴです。名作「Snow Goose」(1975)からの曲を、木管四重奏のサポートを得て再現したものです。

[members]
Andrew Latimer(ギター、フルート、ボーカル)
Peter Bardens(キーボード)
Andy Ward(ドラムス、パーカッション)
Doug Ferguson(ベース)

[set list]
1. Snow Goose
2. Friendship(本ビデオには未収録)
3. Rayader Goes To Town(本ビデオには未収録)

Camel唯一の全編インスト作品ですが、今聴いてもこのメロディーの美しさや4人のアンサンブルの素晴らしさはもう筆舌し難いものがありますね。

難しいことは特にやっていないし、音も分厚く重ねてはいません。必要以上に大仰に盛り上げるということもしていません。叙情性にも適度に抑制が効いているので、聴き込むほどに静かな感動が押し寄せてきます。

アルバムとは曲順が異なっていますが、それを感じさせない自然な流れで、緩急のついたメドレーになっています。やはりこのオリジナルメンバーは絶妙なバランスで成り立っていたことを実感するステージです。

ぜひ当時の映像で「Snow Goose」を全編演奏したものが見てみたいものです。見果てぬ夢として。

「Rosanna 1975」セバスチャン・ハーディー



オーストラリアのシンフォニック・バンドSebastian HardieがオーストラリアのTV番組用に行なったスタジオ・ライヴで、大傑作のデビュー作「Four Moments」から「Rosanna」。

[members]
Mario Millo(ギター、マンドリン、ボーカル)
Peter Plavsic(ベース)
Alex Plavsic(ドラムス、パーカッション)
Toivo Pilt(キーボード)

アルバム「Four Moments」のジャケットのアップから曲が始まりますので、恐らく発売当時1975年のTV映像だと思われます。実際オーストラリアではアルバム「Four Moments」も、この「Rosanna」も大ヒットしています。

スタジオ・ライヴとは言っても、演奏はどうやら当てぶりによるものに見えますが(さらに音と映像がちょっとズレている)、もともと技巧的な演奏で魅せるバンドではないので、その1970年代的な佇まいを見ているだけでも感激できる映像と言えるでしょう。

とにかくマリオ・ミーロの歌いまくるギターが素晴らしいですね。トイフ・ピルトの服装がちょっとYesっぽいも当時を偲ばせて良い雰囲気です。派手なパフォーマンスもなくゆったりと音を紡いで行く様子に、とても好感が持てます。

映像の後半では、2003年に再編され日本公演を行った際のステージの模様が挿入されています。
 

2013年4月6日土曜日

「Live at The London Hippodrome 1977」ジェスロ・タル



イギリスのバンドJethro Tullが「Songs From The Wood」発表後の1977年にロンドン・ヒポドローム劇場で行なったライヴで、BBCの「Sight & Sound In Concert」という番組として放送されたフル・コンサート映像です。

[members]
Ian Anderson(ボーカル、フルート、アコースティック・ギター)
Martin Barre(ギター、バッキング・ボーカル)
John Glascock(ベース)
John Evan(キーボード、バッキング・ボーカル)
David Palmer(キーボード、バッキング・ボーカル)
Barriemore Barlow(ドラムス、パーカッション)

  
[set list]
1. Skating Away
2. Jack In The Green
3. Thick As A Brick
4. Songs From The Wood
5. Velvet Green
6. Hunting Girl
7. Aqualung
8. Wind Up
9. Locomotive Breath
 
「Aqualung」(1971)から"Aqualung"、"Wind Up"、"Locomotive Breath"の3曲、「Thick As A Brick」(1972)から"Thick As A Brick"、「War Child」(1974)から"Skating Away"、そして最新作「Songs from the Wood」(1977)から"Jack in the Green"、"Songs From The Wood"と"Velvet Green"、"Hunting Girl"の4曲という構成です。

イアン・アンダーソンの風貌や派手なパフォーマンスに目が奪われがちですが、歌は上手いしトラッド風味のあるコブシも味があるし、もちろんトリッキーに見えるフルートのテクニックも実にしっかりしています。 

加えて他のメンバーの演奏も素晴らしく、バリモア・バーローのタイトなドラミングに乗って疾走するアンサンブルは見事です。ツイン・キーボードとギターの安定感ある絡み合いや、ジョン、デヴィッド、マーティンを加えた最大4声のボーカル・ハーモニーなど、かのGentle Giantをも彷彿とさせる多彩さ。

次々と傑作アルバムを出していて時期の充実した、でもとっても楽しげなライヴをご堪能下さい。


2013年4月3日水曜日

「TVE Ahora 1975」トリアナ


スペインのバンドTrianaがスペインの国営放送局TVEの番組「TVE Ahora」に出演した際の1975年のスタジオ・ライヴ映像。曲はすべて1975年のデビューアルバム「El Patio」からのものです。

[members]
Juan Jose Palacios(ドラムス、パーカッション)
Jesus De La Rosa(キーボード、ボーカル)
Eduardo Rodriguez(フラメンコ・ギター)
guest: Manolo Rosa(ベース)

[set list]
1. Recuerdo De Una Noche
2. En El Lago
3. Luminosa Manana
4. Abre La Puerta 

彼らの音楽は“Rock Andaluz(アンダルシア・ロック)”と呼ばれるように、フラメンコの要素をたっぷり注ぎ込んだロックです。当時恐らく非常に斬新でオリジナリティーに溢れた“プログレッシヴ”な音楽であったことは間違いないでしょうし、その後もここまでフラメンコを感じさせるロック・バンドは出ていないと言っても過言ではありません。

ヘスス・デ・ラ・ロサの哀愁のボーカル、エドゥアルド・ロドリゲスのスパニッシュ・ギター、そして思わずパルマ(手拍子)をしたくなる曲そのものが、変に小細工をせずにストレートにフラメンコ音楽をバンドに持ち込んでいます。

その結果この手の音楽が陥りがちな“洗練”という名の安っぽさが無く、多少野暮ったいながらも雄大でドラマチックな世界が広がるのです。