2013年2月12日火曜日

「Bird-King Live 1977」トレース



オランダのキーボード・トリオTraceが1977年5月に行なった、ドイツのTV用スタジオ・ライヴ。曲は1975年の名作「Birds」収録の大曲「Bird-King(組曲:鳥人王国)」からの抜粋を中心とした構成になっています。

なおキーボードのハンス・ヤコブスは、映像的にもほとんど無視されているので、実質的にライヴ用サポート・メンバーだったのだと思われます。
 
[member]
Rick Van Der Linden(キーボード)
Jaap Van Eik(ベース、ギター)
Ian Mosley(ドラムス、パーカッション)
Hans Jacobse(キーボード)   
 
[set list]
1. King-Bird
2. Sculpture-Bird
3. Pathetique(悲愴)
4. Surrender(降伏)
5. Confrontation(対立)
6. Preacher Bird
7. A Memory 

アルバム「Birds」から元Wolf、後にMarillionに加入するテクニシャン、イアン・モズレイが加わって、リズムにも安定感が増したこの時期。ヤープのボーカル・パートを無くし、代わりにピアノソロなどが取り入れられ、よりリックのキーボードを中心に据えたクラシカルな構成になっています。

もともと同じキーボード・トリオでもEL&PよりNiceに近く、さらにクラシカルで端正なメロディーが魅力のバンドですが、それはライヴでも変わらず。リックだけはちょっと気合いが入っていますが、他のメンバーはスタジオ・ミュージシャン並みに冷静かつ的確なプレイに徹している感じ。

とは言えそこはTrace、中盤の高速7/8拍子におけるリズム・セクションの切れは素晴らしいの一言。ラスト近くのドラムソロにおける、音の粒立ちの良さも驚異的です。恐るべしイアン・モズレー。

悲しいことにリック・ヴァン・ダー・リンデンは2006年1月22日に永眠。このような映像が残っていたことが奇跡的ですが、この映像を見ながら、Traceの世界をあらためてじっくりと味わいたいものです。