2013年1月22日火曜日

「In Concert 1975」リック・ウェイクマン



5歳からピアノを習いはじめたリック・ウェイクマンは、高校卒業後は王立音楽アカデミーに通う(中退)かたわら、セッション・ミュージシャンとして活動を開始します。数々のセッションをこなし1970年代にはStrawbsに加入、その後1971年にトニー・ケイ(Tony Kaye)に替わってYesのキーボード奏者となります。

Yes加入後は、ピアノやオルガンに於ける華やかな鍵盤さばきと、ソロ楽器としての魅力を引き出したシンセサイザーのプレイ、そしてクラシックの素養を活かした深みのあるメロトロンの使用などにより、Yesサウンドの完成とバンドとしての大躍進に大きく貢献することとなります。もちろん金色の長髪にケープという魔術師と見まごうような風貌でキーボードを自由に操っている姿も、強烈な存在感がありました。

この映像は、Yesでの活躍後に一旦脱退してソロ活動に専念していた1975年2月のオーストラリア公演の映像です。共演はThe Melbourne Philharmonic OrchestraとThe Melbourne Chamber Choir。

曲はセカンド・ソロ・アルバム「地底探検」(1974)から「The Battle」。


[Musicians]
Rick Wakeman(キーボード)
Ashley Holt(ボーカル)
Gary Pickford Hopkins(ボーカル)
Jeffrey Crampton(ギター)
Roger Newell(ベース)
Barney James(ドラムス)

John Hodgson(パーカッション)

Terry Taplin(ナレーション)

The Melbourne Philharmonic Orchestra.
The Melbourne Chamber Choir.

全体のセットリストは以下の通りです。


[Set List]
1. Catherine Parr.
2. Guinevere.
3. Journey to the Centre of the Earth:
(I) The Journey.
(II) The Recollection.
(III) The Battle.
(IV) The Forest.
4. Catherine Howard.
5. Merlin.
6. Anne Boleyn.
7. Reprise from the Forest.


直前の日本公演に触れて「日本の合唱団の英語の発音が酷かったから、英語を話す国に戻ってこれて嬉しいよ。」などというリップサービスも、まぁ今となってはご愛嬌。 オーケストラや合唱団とのコンビネーションも良く、彼の存在感も抜群。ムーグの太い音一つでオーケストラサウンドをなぎ倒すような迫力と勢いが感じられます。

アシュレイ・ホルトとゲイリー・ピックフォード・ホプキンスという二人のボーカリストを擁するバンドも良いですね。2人の硬軟異なった声質が楽曲の物語性を高めつつ、オーケストラに対抗したロックのパワーとスリルを生み出しています。


この大仰さと強引さ、そしてミュージシャンのカリスマ的な佇まいは、やはり1970年代ならではだったと思いますし、それをきっちりと収めたこの映像作品は、歴史的傑作と言えるでしょう。